【奥の湯】新しい風が吹く駅前銭湯にはいってみた!

皆で囲む浴槽。皆で語るカウンター。

新しい風の拭く駅前銭湯。

便利!正真正銘の「駅前銭湯」

札幌市地下鉄南北線 北34条駅の出口階段を出て、数歩歩けばすぐそこには銭湯「奥の湯」。間違いない「駅前銭湯」です。車社会な札幌ですが、地下鉄の通勤族にも間違いなく優しい立地と言えますね。

入口は赤茶色のタイルをあしらった壁面が印象的で、きっとご近所のランドマークでもありそうです。入口サイドには、湯上がりの一息ができる小さなベンチ(あたたかい時期のみ)に自販機。既に湯上がり支度が完璧な予感がしますが、早速中に入ってみましょう。

みんなで囲もう。真ん中にある浴槽。

▲手前はバイブラバス。奥は薬湯。

奥の湯さんの特徴は、浴室真ん中にデンッと構えられた浴槽。

曲線も交えた舟の様な形が、素敵です。

▲湯船底から上がる気泡が心地よい、バイブラバス。

まずは手前のバイブラバス。営業時間は底から勢いよく上がる気泡が、肌当たりも心地よく、そして心もほぐれてゆく感じがします。

浴槽内の腰掛け(ステップ)もあるので、浅めに浸かったり、深めに浸かったりの調整をしながら全身をほぐしてゆくのも気持ちが良いです。

ちなみにこの浴槽には「ブラックシリカ」という石が入っており、身体を中から温めたり、血行を良くしてくれる効能があるそうです。確かに湯上がりはポッカポカなのです。

▲薬湯の浴槽にはジェット付でマッサージができます。

奥の薬湯浴槽は、週によって異なる薬湯が楽しめます。また、薬湯だけではなくジェットが出ているので、背中に当てて身体をほぐす事ができます。まさに一石二鳥の贅沢さ。

またこの様に2つの浴槽が浴室の中心にある事も魅力の1つ。洗い場の人や、隣の浴槽の人とおしゃべりをしながら入浴できますし、自分なりの良いタイミングで浴槽に浸かる事もできました。みんなでお湯を分け合う感じがする、素敵な配置と常連様のつくる雰囲気の賜物です。

無料サウナと冷た〜い水風呂のセットで疲労回復!

▲左:乾式サウナ 右:サウナ小窓から見える水風呂

サウナは遠赤外線の乾式サウナで、木製の壁がホッとする造りです。奥の湯さんにおいてのサウナと水風呂は、完全なセットです。特にサウナに小窓があり、水風呂が眺められ、逆も然りなので、皆様良いペースで両方を楽しんでらっしゃいます。

筆者は個人的に、奥の湯さんの水風呂は最強に冷えていると思っています。伺うと水風呂は冷却器等を使っていないナチュラルな温度だそうで、北海道ならではの冷たさかもしれません。春夏秋冬問わずに入りたくなるサウナセット。是非、交互にトライしてみて頂きたいです。

ちょっとうれしくなる心遣い。

この様に設備を中心とした奥の湯さんの魅力を紹介しましたが、その他の魅力も沢山。

▲脱衣所内の休憩スペースは湯上がりの一休みにピッタリ

例えば脱衣所内の休憩スペース。設備のリニューアルを機に設けた場所だそうです。湯上がりのちょっとした一息をつくときに、座れる場所があるのは嬉しいものです。テーブルを挟んで会話ができるのも良いですね。

▲女湯の脱衣所にはベビーベッド。

▲お子様向けのおもちゃや本。

他にもお子様連れの方に嬉しい小さな気遣いが沢山。

「銭湯に行きたいけど、行ってもいいのかわからない。」という声はよく聞くものです。奥の湯さんは子持ちではない私でも、ファミリー層へのウェルカム感を感じる空間でした。

こうして物があるだけでも、ウェルカムモードを感じられるのが良いですよね。親子での銭湯デビューを迷っている方は是非お勧めしたいです。

湯上がり。カウンター式でも弾む会話

筆者が初めて奥の湯さんを訪れた時は、番台式でした。今はカウンター式にリニューアル。現店主の3代目古名様が経営を引き継がれるにあたり、「より様々なお客様にお越し頂ける様に」と変化を試みたそうです。銭湯での“店主様とお客様との会話”と言えば、番台式が定番とイメージされる方も多いかもしれません。しかしその印象は奥の湯さんで覆る筈です。まずは語るよりも、フロント前の景色をご覧ください。

▲奥の湯さんカウンター前(上:店主古名前様と一緒にお客様を迎える長女愛玲ちゃん。 下:カウンター前全景)

暖簾をくぐった後のフロントが、こんなあたたかい雰囲気だったら嬉しいですよね。

カウンター両サイドにドリンク冷蔵庫・下足箱があるため、多くのお客様がドリンクを選んだり、靴を脱ぎ履きしながら、店主さんの笑顔につられておしゃべり。

ついつい話が盛り上がり、なかなか暖簾をくぐらずに足を止めるお客様がいる事は奥の湯の日常かもしれません。

▲常連様にご挨拶する第二の看板娘・長女愛玲ちゃん

▲第二の看板娘・長女愛玲ちゃん

また、古名様の奥様はもちろん、奥の湯の看板娘はもう1人いるのです。

それは、長女の愛玲ちゃん。常連さんともすっかりお馴染みです。時にカウンターから出てくる時の、愛くるしい表情にお客様はメロメロ。筆者も虜になり、ついついカウンター前で湯上がりの談笑を楽しんでしまいました。

人が集まる、笑顔になる

奥の湯さんの魅力は、みんなで囲める浴槽だけではなく、脱衣所、フロント前、そして細やかな造りに込められた工夫にも宿っています。あなただけの奥の湯さんの魅力を探しに是非足を運んでみてください。

ABOUTこの記事をかいた人

銭湯OL やすこ(ライターフレンズ)

北海道札幌市出身・東京在住の銭湯マニア。上京後東京で銭湯にドップリハマり、地元札幌の銭湯の魅力も再発見中。 東京浴場組合公認ライターとして「銭湯ライター」をつとめながら、ラジオ・TVはじめメディアでも銭湯の魅力を紹介中。